英語教師の留学日記

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日本語教育能力検定試験(令和元年/2019年度)【解答・解説】試験問題Ⅰ [問題3]

日本語教育能力検定試験(令和元年/2019年度) 試験問題Ⅰ [問題3]

の解答・解説です。参考にしていただければ幸いです。

令和元年度 日本語教育能力検定試験 試験問題

令和元年度 日本語教育能力検定試験 試験問題

 

【A】

(1)「日本語の音声」として弁別されないものを選べ。

  1. 摩擦音:肺から口腔を通って出る呼気が、声門・ 咽頭・口腔内の調音器官のどこかで狭められて生じる音。[s][ʃ][z][ʒ]など。

  2. 弾き音:ふるえ音の一種で、舌が、弾くようにあるいはたたくように一回だけふるえるような調音。ラ行子音のうち、「アラ」「イロ」など母音間のものが典型的。

  3. 接近音:声道内に狭い隙間をつくり、その小さな隙間を流れる空気の摩擦によって発生する音。「ヤ」「ワ」等の子音など。

  4. 吸着音:肺や喉頭とは関係なく,口腔音声器官だけで発せられる音。舌打ち舌鼓と同じ種類の破裂音である。

日本語の音声は、鼻 音(nasal sound)破裂音[閉鎖音](plosive sound)摩擦音(fricative sound)破擦音(affricate sound)はじき音[弾音](tap or flap sound)側面はじき音(lateral flap sound)接近音(approximant sound)の7つが用いられる。吸着音は日本語にはない。➡︎4

 

(2)「声門」に関する記述として最も適当なものを選べ。

  1. 有声音は、ほぼ閉じた声門を呼気が通過し声帯が振動している。➡︎ 正しい

  2. ささやき声は、声門が呼吸時と同様に開き声帯が振動している。 → 振動させる

  3. 息を吸うときは、声門が閉まっていて声帯は振動していない。 → 開いている

  4. 息もれ音は、声門が大きく開いていて声帯は振動していない。→ 声門が少し開いた状態で肺から気流を送ることにより、声帯がゆるく振動する

(3)「調音」に関して、日本語の共通語にないものを選べ。

  1. 両唇破裂音 → 日本語の [p][b]

  2. 歯茎ふるえ音 ➡︎ 舌端を歯茎付近で振るわせた巻き舌の音で日本語には存在しない。

  3. 硬口蓋接近音→ 日本語の [j](ヤ行)

  4. 声門摩擦音→  日本語の[h]

調音法とは、主に子音を出すときに行われる呼吸の妨害法で、鼻音、破裂音、摩擦音、破擦音、はじき音、接近音などがある。

 

(4)「子音と母音とでは気流に関して大きな違いが見られる」違いとはどのような違いか。

  1. 気流の流れをいつ妨げるか → 子音が気流を妨げるが、妨げる時間は一瞬であり、その時間を前後させることは困難

  2. 気流の流れをどこで妨げるか → 子音の調音点の違い

  3. 気流の流れをどう妨げるか → 子音の調音法の違い

  4. 気流の流れを妨げるか妨げないかの違い ➡︎ 子音は気流を妨げ、母音は妨げない

<母音と子音の違い>

母音:舌・唇・喉を閉じたり狭めたりせずに出す音

子音:舌・唇・喉を閉じたり狭めたりして出す音

 

(5)「帯気性」が弁別機能をもつ言語の例として最も適切なものを選べ。

帯気音とは有気音のことで、破裂音または破擦音のうち、破裂の直後に呼気がもれるもの。「帯気性」が弁別機能を持つ言語は、中国語、韓国語、ベトナム語である。 ➡︎ 3

 

【B】

(6)「言語記号は音形と意味との間に必然的な関係がない」の内容を表す術語を選べ。

言語機能の恣意性:言葉とそれが表す対象は必然的な結びつきを持っていないということ。

(例)「水」という対象は、waterと呼ばれたりお湯と呼ばれたりする。 ➡︎ 2

 

(7)日本語では(ア)は「軽さ」や「弱さ」と、(イ)は「重さ」や「強さ」と結びつく。(ア)と(イ)に適当な語を入れよ。

サラサラ・ザラザラ、タンタン・ダンダン、トントン・ドンドンなど、清音は「軽さ」や「弱さ」を、濁音は「重さ」や「強さ」と結びつく。

(ア)清音 (イ)濁音

 

(8)「擬態語」の例として最も適当なものを選べ。

  1. ひそひそ耳打ちをした。 → 擬音語???(角川擬音語・擬態語辞典では、擬態語に分類されている)公式解答では、3が正解となっている。
  2. 彼の提案をしぶしぶ承諾した。  → 畳語
  3. ふらふら歩き出した。 ➡︎ 擬態語
  4. 雷がごろごろ鳴っていた。  → 擬音語
  • 擬音語:実際に音が出ているものを言葉にしたもの。(例)わんわん、ドンドン
  • 擬態語:音に直接関係ない物事の状態や心情、動作などを描写したもの。(例)キラキラ、スラスラ 擬態語のうち、「うきうき」、「そわそわ」といった人間の心理状態を表す語は特に「擬情語」と呼ばれる。
  • しぶしぶは畳語で、オノマトペではない。他には「赤々」、「薄々」などがある。

 

(9)「形態素を重ねた、『ピカピカ』のようにゼロ形態で、あるいは『と』や『に』が後接した形で形容詞的に使われる」に関する記述として最も適当なものを選べ。

  1. 「がさがさと/がさがさに」のように、「と」が擬態語、「に」が擬音語の用法に対応する。 → 反対
  2. 「びりびり/びりびりと」のように、ゼロ形態が擬音語、「と」が擬態語の用法に対応する。 →「びりびりと紙が裂ける」のように「と」を伴っても擬音語になる
  3. 「ぎゃあぎゃあと」のように、結果を修飾する擬態語の用法では「と」が使用される。→ 「ぎゃあぎゃあと泣いている」のように「と」は結果を修飾しているわけではない
  4. 「かちんかちんに」のように、結果を修飾する擬態語の用法では「に」が使用される。 ➡︎ 正しい (例)ばらばらに

ゼロ形態 (zero morpheme)とは言語学の用語で、意味はあるが形式がない形態を指す。例えば、「私行く」では本来あるべきガ格が省略されている。しかし、ガ格があっても無くても意味は変わらないため、言語学では「私0行く」というように、”ゼロ格がある”と考える。擬音語でも「犬がわんわん(と)鳴く」のように、「と」をゼロ格として扱うことがある。

 

(10)「接尾辞」の例として不適切なものを選べ。

  1. つく → いらつく
  2. めく → よろめく
  3. なる ➡︎ 接尾辞には存在しない
  4. ばる → へたばる

 

【C】

(11)「助詞」の例として最も適当なものを選べ。

  1. のだ → 助動詞
  2. もう → 副詞
  3. より ➡︎ 格助詞
  4. こと → 形式名詞

 

(12)「取り立て助詞」の説明として最も適当なものを選べ。

 4.  文中のある要素に焦点を当て、暗示された要素との関係を表す。➡︎正しい

取り立て助詞:文中の様々な語に付いて、他の事柄より取り立てて述べる際に使う助詞。文の必須要素ではないため、無くても意味が成り立ち、ある種の暗示的意味を付加する。例えば、「彼も行く。」と言った場合、彼以外にも行く人がいることを暗示する。
(例)も、まで、さえ、ばかり、でもetc.

 

(13)「も」は(ア)が基本的な用法である。(ア)に入るのに最も適当なものを選べ。

  1. 並立 ➡︎ 正しい「英語日本語話せる。」これが助詞「も」の基本的な働き
  2. 共起  → コロケーションとも呼ばれ、ある単語がある文中に出たとき、その中に他の限られた単語が頻繁に出現すること。()選挙に関する文中に、出馬という単語が頻出する。

(14)「直前の要素だけでなく命題も取り上げる」の例として最も適当なものを選べ。

  1. この小説は、早く続編が出版され来年に映画化されるようだ。 → 早く来年に=命題不明
  2. 2 この車は日本で評判がよいが、海外でよいようだ。  → 日本で海外で=命題不明
  3. 彼が来て来なくて、彼女は気にも留めてないようだった。 → 来て来なくて=命題不明
  4. 冷やしたし、薬飲んだがなかなか熱が引かない。 →「頭冷やしたし、薬飲んだが」のように直接の「頭」、「薬」だけでなく、どうしたかという命題を取り立てている ➡︎ 正しい

命題とは、判断を言語で表したもので、真または偽という性質をもつものであるが、基本的にはその文における客観的な内容の部分のこと。取り立て助詞は、直前に取り立てた要素から文中で触れられていない要素を暗示することができる。
(例)彼も休むそうです。(彼以外の人も休む人がいることを暗示する)

 

(15)「意外さの用法」に関する記述として最も適当なものを選べ。

  1. 「子どもでもできる」の「でも」は、デジタル大辞泉によると「物事の一部分を挙げて、他の場合はまして、ということを類推させる意を表す」語で、意外さを表す用法はない。
  2. 「子どもが5人も生まれた」の「数量詞+も」は、話し手の期待や予測より大きな数量を表す。 ➡︎ 正しい (例)コーヒーを3杯も飲んだ
  3. 「子どもさえ知っている」の「さえ」は、意外性を表す場合に特別な文脈を必要とする。
  4. 「子どもまで駆り出される」の「まで」は、取り立てる要素と暗示される対象との間に連続性があると使えない。  

【D】

(16)

  1.  そうするべきだ。拘束的モダリティ
  2.  それでいいのだ。拘束的モダリティ
  3.  そんなことやめなさい。 拘束的モダリティ
  4.  そんなことはあるまい。 ➡︎ 正しい 「まい」はそうではないという事態の真偽に対する判断。認識的モダリティ

モダリティ:話している内容に関する話し手の判断や感じ方を表現するもの。

認識的モダリティ:「かもしれない」「だろう」など

拘束(義務)的モダリティ:「なければならない」「てもよい」など

 

(17)「に違いない」と「はずだ」はどちらも認識的モダリティだが、前者は(ア)で後者は(イ)である。

「にちがいない」は直接、直感、断定、主観で、「はずだ」は間接、論理、婉曲、客観 ➡︎ 2

 

(18)「述部の認識的(エピステミック)モダリティに対して働く副詞」 の例として不適当なを選べ。

  1. こんなチャンスはめったにないだろう。➡︎ 不適当 副詞(めったに)はモダリティ「だろう」ではなく「ない」にかかっている。
  2. この企画は、どうや中止になるらし
  3. まさか、会社は辞めていないよね。 (でしょう)
  4. きっと1年後にはその成果が分かる。 (だろう)

 

(19)「拘束的(デオンティック)モダリティ」に関する記述として最も 適当なものを選べ。

  1. 聞き手への要求を表すため、基本的に話し手自身の行為の意向は表せない。 → 話し手自身の行為の意向も表すことができる。
  2. 基本的にモダリティ形式の前にル形とタ形のテンス対立を持たない。➡︎ 正しい「買うほうがいい / 買ったほうがいい」のようにモダリティはテンスとは関係ない。
  3. 述語構造において、認識的(エピステミック)モダリティに後続する。 → 「買うほうがいいだろう」のように認識的(エピステミック)モダリティも後続する。
  4. 動作の主体を表す主語が二人称でなければならないという制限を持つ。 →  拘束的モダリティを用いる場合に人称制限はない。

 

(20)「なくてはいけない」は必要で、「てもいい」は許可。➡︎ 4

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